| 【総評】写真家 田沼武能 さん |
日本に写真術が渡来して150年余りになる。実際に撮影が成功するのには、それから10年近くかかっている。当時は感光材料からつくらなければならず、いかに先人たちが苦労したかが察せられる。様々な時代を反映してきた「毎日写真コンテスト」は創設して83年がたった。日本の写真史とともに歩んできたといっても過言でない。
その伝統あるコンテストに今年もたくさんの力作が寄せられた。コンテストの根幹であるドキュメント部門から「豪雨氾濫の爪痕」が総理大臣賞に選ばれた。今年の夏は、再度台風、集中豪雨が西日本を襲った。その被害地をドキュメントしたもので、画面に被害者は登場させず、爪痕を克明に記録している。それが一層水害の恐ろしさや緊迫感を伝えている。ネーチャー部門は、以前上位を占めたいた日本の風景を賛美したいやし系の作品は消え、生物や昆虫などの生命をテーマにしたものが多くなっている。デジタルアート部門も単なる技術的な遊びではなく、内容のある作品が増えてきたことは喜ばしい。
学生部門では、小学生は自分感動を直接写真に写し撮ろうとしており、迫力を感じた。中学生になると絵づくりをしようと試みている。高校生はカメラ機能を活用して写真制作をしており、その年齢的特色がみられた。学生時代はさまざまな冒険を試みて欲しい。ファミリー部門のテーマ「おもいでの旅」は、素直に旅の楽しさをとらえたものが上位に選ばれた。
写真はデジタル時代になり、カメラ機能の進歩により、だれでも簡単に失敗なく写るようになった。きれいに写っただけではもはや上位を望むことは難しい。写真の内面からテーマを発見したときの喜び、こころの感動が伝わってくるものが最後に残ってゆく。くりかえすが、良い写真を撮るのには、好奇心と行動力、そして感性、何よりも自分自身の発見、感動を写真に表現することがポイントである。これからも夢を持ち、大いに写真で人生を楽しんでいただきたい。 |
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